なた豆茶製造を計画通りに設備投資とM&Aを実行

日本触媒姫路製造所(兵庫県姫路市)の爆発炎上事故から1年8カ月が経過した。事故で止まっていたプラントは操業を再開。アクリル酸や高吸水性樹脂(SAP)の需要が拡大し、2014年度は事故前の水準以上の売り上げを見込む。14年度からスタートした新長期経営計画では、20年度に売上高5000億円(13年度は3021億円)を掲げる。高い目標を実現するためにどういった戦略を描くのか、池田全徳社長に聞いた。 ―20年度までの7年間で2000億円の設備投資を計画しています。 「事故後1年半凍結していた設備投資を再開する。夏までに計画を確定し進めて行く。中期計画が終わる16年度までは私が計画をやり切り、4000億円近い売上高に持って行きたい。生産能力増強でSAPは世界トップシェアを堅持したい」 ―そのうち1500億円はアクリル酸とSAPの増産に投じます。 「プラントは20年度までにアクリル酸8万トン、SAP9万―10万トンのセットを2セット建設完了し、1セットを建設中という段階に到達したい。設置場所は2セットが海外、1セットが国内と考えている」 「増設するのは既存の海外拠点か、国内なら千葉県や川崎市のコンビナート内を検討している。海外は米ヒューストンを最有力候補に考えていたが、シェールガス関連プラントの建設ラッシュで、建設費が高騰。現状は米ヒューストン、ベルギー、シンガポールが有力候補だ。将来は東欧、南米、インドへの製造拠点開設もありえるが、現時点ではインフラも不十分で難しい」 ―中国子会社「日触化工(張家港)」のSAPなた豆茶生産能力を3万トンから6万トンへ増強する計画が中断していますが。 「建設許可は下りていて、夏頃までに建設するかどうか決めないと許可が取り消される。日中関係の不安定さなどが増設中断の要因。まだ、正式には決めてないが、現時点で増設の可能性は低い」 ―機能性化学品、新エネルギー関連で20年度までに300億円の投資を計画しています。 「光学材料用アクリル樹脂『アクリビュア』、燃料電池用部材『ジルコニアシート』、電気自動車などで使われるイオンコンダクティブポリマー(ICP)などの設備増強で投資を見込む。一方、医療・ヘルスケア分野でM&A(合併・買収)資金を500億円用意している。14年度中にも買収を実現したい」 【記者の目/人材確保がカギ】 池田社長は社是「安全が生産に優先する」を会社として最優先の理念にすると話す。高シェアを握る紙オムツ材料のSAPとその原料のアクリル酸の市場は、それぞれ5―7%程度のペースで拡大すると見られる。計画通りに設備投資とM&Aを実行できれば、売上高5000億円を実現する市場環境はある。人材確保がカギとなりそうだ。カプコンは2012年から毎年約100人の開発人員の採用を続けており、21年に従業員数を現在の約1800人から2500人まで増やす計画だ。増員の狙いや今後の注力分野について辻本春弘社長執行役員最高執行責任者(COO)に聞いた。 ―増員の狙いを教えて下さい。 「現在はゲームのダウンロード販売比率が上がってソーシャルゲームが主流になり、(基本料金無料の)フリーツープレイで、ユーザーのプレイ動向を見ながら追加コンテンツを展開してマネタイズに持っていく。これにユーザーも慣れ親しんできた状況で考えると、内製しないと継続したゲームの開発運営はできない。ノウハウの蓄積や人材育成、ゲーム多様化に対応するために採用を強化した。自前なら失敗も経験として残る」 ―ノウハウで重視するものは何ですか。 「マネタイズだ。昨年モバイルコンテンツの失敗による特別損失を出した。ダウンロードしてくれるがマネタイズがうまくいかなかった。そこで、パソコンのオンラインゲームで月定額とアイテム課金によるマネタイズの経験があった東京の開発チームに『モンハン大狩猟クエスト』の開発を任せたところ、13年10月の発売後、アップストアで常時トップセールス100位以内に入る成果が出た。そのため14年2月からはモバイルゲームの開発機能を東京に集約することにした」 ―変化が激しい業界ですが、注意する点はありますか。 「今後10年ほどで見ればゲーム用端末はある程度出そろったと思う。ただ、ユーザーが限られた時間の中でどんな環境・場面でゲームをするのかが重要だ。コンテンツによってデバイスも変わる。例えばパズドラは大画面でしなくてもいい。バイオハザードの新作は家で30インチ以上の大画面で楽しむものだ。ユーザーの嗜(し)好に注意して作り込むことが必要だ」 ―その中で注力すべき分野は。 「やはりスマートフォンだ。ゲームをする人の端末構成は圧倒的にスマホが高く、この傾向は変わりようがない。ただ、(スマホ向けゲームは)おそらくもう一段ステップが変わると思う。現在のトップアプリはパズル系やRPG系だが、ユーザーは進化を求める。そのための布石は5月に発売したiOS版の『モンスターハンター(MH)ポータブル2ndG』だ。これはプレイステーションポータブル(PSP)向けのソフトをiOS向けに移植したものだ。家庭用ゲームに匹敵するクオリティーのアクションゲームをスマホ向けに提供できるのは当社の技術力だ。PSPやニンテンドー3DSで展開したコンテンツの資産を生かし、30年の経験に基づいて事業の精度を上げていけば、この状況でもあわてることはない」 【記者の目/新体制で勢力図塗り替えを期待】 モバイルゲームで新興勢力がヒットを飛ばす中、同社もオリジナルコンテンツを開発したが、開発や販売の失敗で14年3月に連結で約50億円の特別損失を計上した。そこで選択したのがモバイルゲームの開発部隊を東京に集約し、自前の開発人員を増やして運営やマネタイズのノウハウを蓄積する戦略だ。新体制のカプコンがどんな切り口のゲームでモバイルの勢力図を塗り替えようとするのか注目したい。

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